2019年末からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、翌2020年4月9日より、自治体から保育園の登園自粛が要請された。建前では要請であり強制ではないとはいえ、期間中の登園には保護者の職業(緊急事態宣言下でも休業できなさそうな物である事が暗に要求されている。そもそも自治体側は保護者の職業を把握している筈だが……)を記載しての申請が必要であるなどなかなかの強制力を感じさせる状況になっており、またかねてから園内での子ども達の感染や、重症化しやすい高齢者の割合が高いパートタイムの従業員さんたちが感染してしまうリスクを心配していた事もあり、自粛要請期間が始まる4月13日から保育園を休園させる事にした。
幸運にも父母共に在宅での仕事が可能だったので、休園中の生活は基本的に、午前中は父が子を担当し母は仕事、3人で昼食を食べた後、午後は母が子を担当し父は仕事、というスケジュールにした。我が家では子が新生児のころ、保育園に通い出す前にも同様のスケジュールで生活しており、またその時よりも子の世話が楽になっている事もあってなんとかなるんじゃないか、という気分ではいた。実際、5歳になった子はトイレも着替えもほぼ自分でできるので、保育園を休園する事で親に追加でかかる負担は子の遊びにつきあう事がほとんどと思われた。とはいえ「つかまり立ち」さえできれば大満足だった新生児の頃とは異なり、成長した子どもは同じ遊びを続けていたらすぐに飽きるし、何事もなかった時期の週末にも「とうちゃんだけとあそぶのつまんない!こどもとあそびたい!」などと言い出す一方、親が介入しない一人遊びで長い時間を過ごせるわけでも無い…という年頃。外出に制約がある中でどんな遊びをして過ごしていたか、4〜6月の記録を元に紹介してみたい。
【紙工作】休園前から折り紙や画用紙を使った工作をよくしていたので、さらにペーパークラフトを加えてみた。日本の家庭用プリンタは本体を安く売ってインクカートリッジでもうけるビジネスモデルになっているため、家庭内のプリント需要を作り出すために各社工夫をこらしたペーパークラフトを無償で提供している。いくつか作っているうちに、かなり複雑な形でもハサミで切り出せる様になった事に驚いた。印刷したペーパークラフトで作った街に、画用紙に絵を描いて作ったオリジナルペーパークラフトの建物を追加する、といった展開も加えて、ペーパークラフトブームが結構な期間続いた。休園中に最も長い時間を過ごしたのがこの遊びだったと思う。その後保育園の再開に伴ってブームは去ってしまったのだが、時々思い出した様に「何かペーパークラフト印刷して作ろう…?」と提案してくる事がある。
【組み立て系玩具】休園開始後、翌々週には子の誕生日だった事もあり、前倒しで玩具をプレゼントする事にした。「ピタゴラ装置」に憧れがある子と相談の上「くみくみスロープ」(くもん出版)の一番大きなセットを買った。いわゆる「ピタゴラ装置」的なものは大人でもちゃんと作るのは難しいので、日常的な道具がコースに変わる面白さは無いものの、ブロックの様に組み合わせてコースを作れるこの種の玩具は手軽に気分を味わえて良い。一方で何をどうやっても「くみくみスロープのコース」しか作れないので、レゴやLaQなどのブロック系玩具に比べると賞味期限が短いと感じた。(続く)
このエッセイの全文は「漫想新聞 第9号」(2022年1月発行)に掲載されています。(記事自体は2020年に書いたものです)